confroot
mikutterは、 ~/.mikutter/
というディレクトリの下に、設定などのファイルを格納し、他の場所にはファイルを動的に作成することは原則ありません。当然、mikutterプラグインもこの原則に従わなければなりません。
このような、ファイルを一時的、または恒久的に保存するための領域は、 confroot と呼ばれています。
confrootを変更して起動する
confroot は起動時に別の場所を指定することが出来るため、 ~/.mikutter/
というパスをハードコーディングしてはいけません。コード内では、次節の方法で取得することになりますが、この節ではconfrootを変更して起動するとどうなるかを確認します。
confrootには、サードパーティプラグイン、設定、World情報などが格納されています。したがって、confrootを空のディレクトリに設定すると、全ての設定がデフォルトの状態で起動し、チュートリアルが始まります。当然、confrootを設定せずに起動すれば、いつものmikutterに戻ります。
MIKUTTER_CONFROOT 環境変数
mikutterを起動する時に、環境変数 MIKUTTER_CONFROOT
にパスを設定しておくと、その場所をconfrootとして利用しようとします。
MIKUTTER_CONFROOT=/path/to/confroot ./mikutter.rb
上記のようなコマンドで起動すると、 /path/to/confroot
がなければ作成され、それをconfrootとして起動します。この方法はmikutter 3.5以降で使えますが、古いmikutterだと使えません。その場合は次の方法を試してください。
–confroot= オプション
起動時のコマンドラインオプションで指定する方法もあります。
./mikutter.rb --confroot=/path/to/confroot
上記のようなコマンドで起動すると、 /path/to/confroot
がなければ作成され、それをconfrootとして起動します。
confrootをプラグインから取得する
mikutterのコードであればどこでも、次のように書けばconfrootディレクトリを得られます。この値は、上記のような起動時の指定によってconfrootが変えられていたらその値になりますし、設定されていなければ "(ホームディレクトリ)/.mikutter/"
のような文字列を返します。
Environment::CONFROOT
confroot以下には、 settings
tmp
log
cache
という4つのディレクトリがあり、それぞれ用途が決まっていますが、このディレクトリたちにも定数が割り当てられています。普通の用途では、 Environment::CONFROOT
ではなく、以下の定数を使いたいはずです。
定数 | デフォルト値 | 意味 |
---|---|---|
|
~/.mikutter/ |
confroot |
|
(confroot)/settings/ |
恒久的に保持しておきたい情報 |
|
(confroot)/tmp/ |
一時ファイル領域 |
|
(confroot)/log/ |
ログ情報。バグレポートなどに使われている |
|
(confroot)/cache/ |
キャッシュ。画像やAPIレスポンスなどを保存するために使う |
上記の5つ(実質、CONFROOT以外の4つ)のなかから、利用したい用途に合わせて選んでください。また、実際に使う場合は次の 衝突を回避する を必ず読んでください。
衝突を回避する
単に上記のディレクトリから一つを選んで使うと、他のプラグインに意図せずファイルを書き換えられてしまう危険性があるので、実際には Environment::SETTINGDIR/プラグインスラッグ のようなディレクトリを使うべきです。mikutterインスタンス上に同じプラグインスラッグをもつプラグインは存在できないため、このようにしておけば衝突はしません。
プラグインスラッグが test
の場合、以下のようなコードで安全にディレクトリ名を得ることができます。
File.join(Environment::SETTINGDIR, 'test')
confrootで得られるパスを扱う時のtips
ファイルパスを扱う時、最後のスラッシュの有無は、プログラミング言語に関わらず問題になることが多いです。 Environment::CONFROOT
などは、起動時のユーザの指定によっては、末尾にスラッシュがあったりなかったりします。
例えば、下記の例だと ~/.mikutter/settings/test/data
かもしれませんし、 ~/.mikutter/settingstest/data
かもしれないので、誤りです。
Environment::SETTINGDIR + "test/data"
こういう時は、 File.join を使います。
File.join(Environment::SETTINGDIR, "test/data")
# 以下のようにも書ける
File.join(Environment::SETTINGDIR, "test", "data")
この方法では、どちらの場合も ~/.mikutter/settings/test
という結果を得られます。
あるいは、現在mikutterではあまり使われていませんが、Ruby標準添付ライブラリの Pathname を使うのも手です。
Pathname(Environment::SETTINGDIR) / "test" / "data"